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国内最大の体細胞モザイクと精神疾患の関連解析-体細胞モザイクは統合失調症?双極症の関連因子-(共同プレスリリース)


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理化学研究所
藤田医科大学
静岡県立総合病院
静岡県立大学

国内最大の体細胞モザイクと精神疾患の関連解析-体細胞モザイクは統合失調症?双極症の関連因子-

概要

理化学研究所(理研)生命医科学研究センターゲノム解析応用研究チームの寺尾知可史チームディレクター(静岡県立総合病院臨床研究部免疫研究部長、静岡県立大学薬学部ゲノム病態解析分野特任教授)、内山竣介研修生、藤田医科大学精神神経科学の齋藤竹生准教授、岩田仲生教授らの国際共同研究グループは、精神疾患である統合失調症[1]と双極症[2]の患者の末梢血DNAから、後天的なDNA変異である体細胞モザイク[3]を検出し、体細胞モザイクが統合失調症と双極症の関連因子となることを突き止めました。
本必威体育_必威体育app-【官网下载】は、これらの精神疾患の病態解明に貢献すると期待されます。
統合失調症や双極症など精神疾患のリスク因子として、これまでの全ゲノム関連解析(GWAS)[4]で、疾患に関連する先天的な遺伝子変異の存在が明らかとなっています。近年、後天的な体細胞変異についても統合失調症や自閉スペクトラム症(ASD)[5]のリスクと関連することが報告されてきましたが、これら精神疾患の患者からDNAを採取したときの年齢と体細胞モザイクや、体細胞変異と双極症の詳細な関連は分かっていませんでした。
今回、国際共同研究グループは、バイオバンク?ジャパン(BBJ)[6]の登録者約18万人と藤田医科大学を中心とした日本全国の大学?施設から収集した統合失調症患者約2,500人、双極症患者約3,700人の末梢血DNAから、体細胞モザイクを検出しました。また、常染色体で染色体の一部または全体が欠損する現象(常染色体喪失モザイク:Loss)が統合失調症や双極症において上昇していることを明らかにしました。特に40歳未満の若年例においてリスクの上昇との関連が明らかでした。さらに、統合失調症において、Lossは遺伝要因であるポリジェニックリスクスコア(PRS)[7]と相互作用し、統合失調症と関連することを見いだしました。
本研究は、科学雑誌『Molecular Psychiatry』オンライン版(1月15日付:日本時間1月15日)に掲載されました。

精神疾患と体細胞モザイク関連解析の研究概要

背景

統合失調症や双極症は発症頻度が高い精神疾患であり、発症には遺伝要因と環境要因が関与すると考えられています。遺伝要因に関しては、全ゲノム関連解析(GWAS)により、これらの精神疾患に関連する一塩基多型(SNP)[7]が明らかとなってきました。環境要因としては出産時の合併症や社会的ストレスなどが関与すると考えられていますが、詳しいことは分かっていませんでした。
後天的なDNA変異のある細胞とない細胞が混在する状態である「体細胞モザイク」は、後天的変異の及ぶ範囲により、一塩基レベルと染色体レベルの体細胞変異に分類されます。染色体レベルでの体細胞モザイクは、常染色体に生じる常染色体モザイク[3]だけではなく、性染色体にも生じ、男性のみに生じるY染色体喪失モザイク(mLOY)と女性のみに生じるX染色体喪失モザイク(mLOX)に分けられます。
体細胞モザイクは、脳や消化管、血液などあらゆる組織に存在していますが、検体採取のしやすさから血中の体細胞モザイクの研究が進んでいます。血中の体細胞モザイクは、健常者において加齢に伴い増加し、血液悪性腫瘍や加齢性疾患発症リスクとの関連が指摘されていました。近年、血液以外の組織においても体細胞モザイクが同定され、健常なヒトの脳においても体細胞モザイクが存在することが分かってきています。ヒトの脳の神経細胞において、一塩基レベルでの体細胞モザイクが、神経発生のさまざまな段階において蓄積し、脳の発達や多様性に関与すると考えられています。しかし、体細胞モザイクは多様性を生むよい側面だけではなく、統合失調症やASDなど精神疾患のリスクになることが報告されています。前述の通り、体細胞モザイクは加齢との関連がありますが、これまでの報告ではサンプルの年齢情報が欠如し、精神疾患と体細胞モザイクの関連を見る際に、年齢の影響を考慮できていませんでした。
国際共同研究グループは、サンプルの年齢情報を有していたため、年齢の影響を調整した統計学的モデルを使用し、精神疾患(統合失調症と双極症)と体細胞モザイクの関連性を調べました。

研究手法と成果

国際共同研究グループは、日本人最大規模の統合失調症と双極症患者のDNAマイクロアレイ[8]のデータから体細胞モザイクを検出し、これらの精神疾患との関連を解析することは、精神疾患の病態解明に意義があると考えました。
まず、バイオバンク?ジャパン(BBJ)の登録者約18万人と藤田医科大学を中心とした日本全国の大学?施設から収集した統合失調症患者約2,500人、双極症患者約3,700人のDNAマイクロアレイのデータを解析し、体細胞モザイクを検出しました。BBJのサンプルをコントロールサンプル(対照群)として、年齢の影響を調整したロジスティック回帰分析[9]を行い、統合失調症と双極症それぞれと体細胞モザイクの関連を解析しました。
その結果、統合失調症において常染色体モザイクが上昇し、有意に関連していました(図1左)。常染色体モザイクの中でも染色体の一部または全体が欠損する現象(Loss)が統合失調症において上昇していることが分かりました(図1左)。同様に常染色体モザイク、特にLossが双極症において上昇していました(図1右)。一方、他の常染色体モザイク(CN-LOHs、Gain)は統合失調症と双極症のいずれも関連を認めませんでした(図1左?右)。このことは血中のLossが精神疾患共通の後天的なリスク関連因子である可能性を示唆しています。これらの関連は、抗精神病薬や気分安定薬など薬剤の影響を調整しても同様の傾向を認めました。

図1 常染色体喪失モザイクの統合失調症?双極症における正の関連

年齢別の体細胞モザイク保有割合(左:統合失調症、右:双極症)を示す。ロジスティック回帰分析の結果は論文中に記載をしている。(左上赤矢印)統合失調症患者は、常染色体モザイクが多く、対照群と比べ疾患が存在するリスクが何倍に上がるかを示すオッズ比(OR)が1.57である。また、P値(統計学的有意差を示す指標)6.1×10-11、有意確率<0.05/6=0.008、多重比較検定で有意水準を調整するボンフェローニ補正で「有意差あり」とされる。(左下赤矢印)染色体の一部または全体が欠損する現象(Loss)も、ORが1.78、P値4.9×10-6を示す。いずれも、統合失調症で上昇している。(右上赤矢印)双極症患者でも、常染色体モザイク(OR1.14、P値0.036)と(右下赤矢印)Loss(OR1.41、P値0.0025)が、対照群と比べて双極症において高まっている。
次に、精神疾患(統合失調症と双極症)患者と対照群を年齢(40歳未満、40~49歳、50~59歳、60歳より高齢の群)で4群に分類し、それぞれの年齢群において、年齢を調整したロジスティック回帰分析で精神疾患と常染色体モザイクに加えLossの関連を評価しました。
その結果、統合失調症においては、全ての年齢群で常染色体モザイクが上昇していました(図2A上)。また、そのリスクの上昇の程度は、40歳未満の若年の群において最も高く、年齢が高い群になるほど直線的に低下を示しました(図2A上)。また、統合失調症において、Lossも40歳未満の若年群で特に高い結果を示しました(図2A下)。同様に、双極症において、50~59歳の群を除いた全ての年齢群で常染色体モザイクが上昇していました(図2B上)。また、その上昇の程度は、40歳未満の若年の群において最も高く、年齢が高い群になるほど直線的に低下する傾向を示しました(図2B上)。また、双極症において、Lossも40歳未満の若年群で特に高い結果を示しました(図2B下)。若年群で強調された精神疾患と常染色体モザイクの関連は、発生初期での常染色体モザイクが精神疾患の病態形成において重要な役割を果たしていることを示唆しています。脳を含む神経組織の発生は胚発生の初期段階で始まるため、血中で増加した常染色体モザイク変異は、脳の常染色体モザイクの変異を反映している可能性があります。

図2 各年齢群における統合失調症?双極症と常染色体モザイク/Lossの関連

(A上)統合失調症患者と対照群をそれぞれ4群(40歳未満、40~49歳、50歳~59歳、60歳より高齢)に分け、年齢を調整したロジスティック回帰分析で統合失調症と常染色体モザイク、Lossの関連を評価した。常染色体モザイクは、全年齢群でORが1を上回り、P値も一部有意差を示し、統合失調症で上昇しており、なかでも40歳未満で最も強い関連があった。(A下)LossもOR、P値ともに同様の傾向を示し、40歳未満が特に強い関連があった。(B上)双極症も統合失調症と同じ方法で解析した。常染色体モザイクは、50~59歳の群を除き、他の3群ではORが1を上回り、上昇していた。(B下)Lossは、統合失調症と同様に40歳未満の若年群で特に上昇していることが分かった。
最後に遺伝要因であるポリジェニックリスクスコア(PRS)と環境要因である常染色体モザイクの相互作用を評価しました。PRSは、GWASにおける効果量[10]と遺伝子型とを用いてスコア化(数値化)したもので、数値が高いほど遺伝的にその疾患になりやすいことを示しています。
常染色体モザイクの有無に加え、常染色体モザイクの細胞分画(CF)[11]が5%より大きい群を加えた3群について、常染色体モザイクの割合とPRSの相互作用が統合失調症に及ぼす影響を詳細に調べました。
その結果、統合失調症においては、低PRS群?高PRS群のいずれにおいても常染色体モザイクが陽性かつCFに依存して、統合失調症患者の割合上昇を認めました(図3A)。また、その上昇の程度は、低PRS群でCFに依存して急激で非直線的な増加を示したのに対して、高PRS群ではより緩やかで直線的でした(図3A)。このことは、統合失調症において常染色体モザイクとPRSの相互作用が存在する可能性を示しています。Lossでも同様の結果を示しました(図3B)。さらなる解析の結果、統合失調症では、CFの高いLossとPRSの拮抗的相互作用[12]を認めました。これらのことから、LossはPRSと相互作用し、統合失調症のリスクを増加させる関連因子である可能性が示されました。双極症では、常染色体モザイク?LossとPRSの相互作用は認めませんでした。

図3 PRSと常染色体モザイク?Lossの相互作用の解析

常染色体モザイクの有?無、常染色体モザイクの細胞分画(CF)が5%より大きい計3群について、常染色体モザイクの割合とPRSの相互作用が統合失調症の患者割合とどのように関連するかを調べた。(A)常染色体モザイクでは、低PRS群?高 PRS群のいずれも常染色体モザイクが陽性かつCFに依存して統合失調症患者割合の上昇を認めた。低PRS群と比較し、高PRS群のCFに依存した緩やかなリスクの上昇は、PRSと常染色体モザイクの相互作用を示唆する。(B)Lossでも、常染色体モザイクと同じような結果を示した。

今後の期待

常染色体モザイク(特にLoss)が精神疾患(統合失調症と双極症)に共通の後天的なリスク関連因子の可能性があり、若年齢においてその関連が強まることを明らかにしたことが、本研究における最も大きな成果です。それとともに、今後Lossが生じる細胞種?遺伝子群などが明らかになれば精神疾患のさらなる病態解明につながることが期待されます。

論文情報

<タイトル>
Associations between mosaic loss and schizophrenia or bipolar disorder of young age
<著者名>
Shunsuke Uchiyama, Takeo Saito, Xiaoxi Liu, Yuki Ishikawa, Keiko Hikino, Masashi Ikeda, Giulio Genovese, Nakao Iwata, Chikashi Terao.
<雑誌>
Molecular Psychiatry
<DOI>
10.1038/s41380-025-03397-z

補足説明

[1] 統合失調症
思春期?青年期に発症することが多く、幻覚?妄想などの陽性症状、意欲低下などの陰性症状、認知機能の障害などが生じる主要な精神疾患の一つ。

[2] 双極症
気分の落ち込みや興味?喜びの喪失を主症状とする抑うつ状態と、気分の高揚や過活動を主とする躁(そう)状態を繰り返す主要な精神疾患の一つ。

[3] 体細胞モザイク、常染色体モザイク
体細胞モザイクとは、体細胞に後天的なDNA変異が生じることで、変異のある細胞と変異のない細胞が混ざった状態。血中体細胞モザイクは、以前は血液悪性腫瘍において存在することが知られていたが、近年健常者においても男性に多く、加齢で増加することが知られている。染色体レベルで生じる体細胞モザイクは、常染色体に生じる常染色体モザイクと、性染色体に生じる性染色体モザイクに分類される。さらに、常染色体モザイクは、染色体の一部または全体が欠損する状態であるLoss、染色体の一部または全体が2本とも片親由来となる状態であるCN-LOHs、染色体の一部または全体がコピーとして増える状態であるGainに分類される。

[4] 全ゲノム関連解析(GWAS)
疾患の有無や臨床検査値とSNP([7]参照)を全ゲノムにわたって網羅的に解析する統計学的手法。特定の遺伝子や遺伝子上に存在する一塩基の違い(多型)を対象にしないバイアスのないアプローチであることから、新規の関連を同定することが可能となる。GWASはGenome-Wide Association Studyの略。

[5] 自閉症スペクトラム症(ASD)
社会的コミュニケーションの問題と、限局された行動?興味を主な症状とする発達障害の一群。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。

[6] バイオバンク?ジャパン(BBJ)
東京大学医科学研究所内に設置されている日本人27万人を対象とした生体試料のバイオバンク。理研が実験して取得した約20万人のゲノムデータを保有する。オーダーメイド医療の実現プログラムを通じて実施され、ゲノムDNAや血清サンプルを臨床情報とともに収集し、研究者へのデータ提供や分譲を行っている。

[7] ポリジェニックリスクスコア(PRS)、一塩基多型(SNP)
遺伝子上に存在する一塩基の違い(多型)を一塩基多型(SNP)と呼び、個人間の遺伝的多様性を構成する最も一般的な変異形式で、疾患や形質と関連があることが知られている。ポリジェニックリスクスコア(PRS)は、各SNPの関連解析における効果量と遺伝子型とを乗じたものの総和を、個人ごとに算出するスコアであり、特定の疾患の発症のしやすさの程度を示す。今回の例では統合失調症のPRSが高いほど、遺伝的に統合失調症になりやすいことを示している。PRSはPolygenic Risk Scoreの略。SNPはSingle Nucleotide Polymorphismの略。

[8] DNAマイクロアレイ
基板の上に、遺伝的多型(主にSNP)に相補的なプローブを搭載したビーズを高密度に配置し、数十万~数百万の遺伝的多型を検出するための分析器具。

[9] ロジスティック回帰分析
複数の説明変数から特定の目的変数を予想する多変量解析の一つ。目的変数としては2値の結果を使用する。

[10] 効果量
基準とするものに対して、発症するリスクが何倍に上がるかを示すオッズ比(OR)の自然対数を取ったものを効果量と呼び、通常βと示され、線形回帰モデルにおいて直線の傾きに相当しており、傾きが大きいほどリスクが高いと解釈される。

[11] 細胞分画(CF)
組織の DNA 全体のうち体細胞モザイクなどが存在する割合。ここでは抹消血の白血球のDNAのうち体細胞モザイクがどのくらいの割合で存在するかを調べた。CFはCell Fractionの略。

[12] 拮抗的相互作用
複数の要因が一緒に働いたとき、単純な足し算よりも効果が小さくなること。

(2026年1月15日)

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